目次
はじめに:時代を超えて愛される、暖かさとスタイルを兼ね備えたB-15フライトジャケット
1940年代にアメリカ陸軍航空隊(USAAF)が開発したB-15フライトジャケット。その特徴的なムートン襟と高い保温性は、極寒の空を飛ぶパイロットたちの身を守り、後の数々のフライトジャケットに影響を与えた名作です。
本記事では、そんなB-15フライトジャケットの魅力を余すところなく解説します。誕生の背景から、細かな仕様の違い、古着ならではの魅力、そして現代的な着こなし術まで、B-15に関するあらゆる情報を5000字を超えるボリュームでお届け。この記事を読めば、B-15の奥深い魅力にきっと引き込まれるでしょう。
B-15フライトジャケットとは?その歴史と背景
B-15は、第二次世界大戦中に活躍したB-10フライトジャケットの後継として、1944年にアメリカ陸軍航空隊に採用されました。ジェット機時代の到来を見据え、より高い高度での寒さに対応するため、襟には保温性に優れたシープスキン(羊革)ムートンが採用されました。
B-15の初期モデルは、アウターシェルにコットンツイル、ライニングにはアルパカウールが使用され、非常に高い保温性を誇りました。その後、素材や細部の仕様が改良されながら、1950年代中期まで製造が続けられました。
その独特のデザインと機能性から、B-15は軍用衣料としてだけでなく、戦後の民間市場にも広まり、ファッションアイテムとしても注目を集めました。特に、その温かさと首元のボリューム感が、冬のスタイリングに独特のアクセントを加えるとして、多くの人々に愛されています。
年代別に見るB-15フライトジャケットのディテールの違い
B-15フライトジャケットは、製造された年代やモデルによって細部の仕様が大きく異なります。古着を探す際には、これらの違いを知っておくと、より自分好みの1着を見つけることができるでしょう。ここでは、代表的なモデルごとのディテールの違いを解説します。
B-15(Type B-15:1944年〜1945年)

- 生地: アウターシェルはOD(オリーブドラブ)色のコットンツイル。
- 襟: シープスキン(羊革)ムートンの襟。
- ライニング: アルパカウールパイル。
- フロントジッパー: タロン社製のコットンテープ付きブラスジッパー。
- 肩の仕様: セットインスリーブ。
- 袖口: ウールリブニット。
- ウエスト: ウールリブニット。
- ポケット: フロントにスナップボタン留めのスラッシュポケット。左袖にペンシルポケット。
- オキシジェンタブ: 左胸に酸素マスクのホースを固定するためのオキシジェンタブ付き。
- ボアのカラー: ブラウン系のシープスキンムートン。
B-15A(Type B-15A:1945年〜1947年)

- 生地: アウターシェルはOD色のコットンツイル。
- 襟: シープスキンムートンの襟。
- ライニング: アルパカウールパイル。
- フロントジッパー: タロン社製のコットンテープ付きブラスジッパー。
- 肩の仕様: セットインスリーブ。
- 袖口: ウールリブニット。
- ウエスト: ウールリブニット。
- ポケット: フロントにスナップボタン留めのスラッシュポケット。左袖にペンシルポケット。
- オキシジェンタブ: 引き続き装備。
- ボアのカラー: ブラウン系のシープスキンムートン。
- 主な変更点: ごくわずかなディテールの変更。
B-15B(Type B-15B:1947年〜1950年)
- 生地: アウターシェルはOD色のコットンツイル。
- 襟: シープスキンムートンの襟。
- ライニング: アルパカウールパイル。
- フロントジッパー: タロン社製のナイロントップ付きブラスジッパー。
- 肩の仕様: セットインスリーブ。
- 袖口: ウールリブニット。
- ウエスト: ウールリブニット。
- ポケット: フロントにスナップボタン留めのスラッシュポケット。左袖にペンシルポケット。
- オキシジェンタブ: 引き続き装備。
- ボアのカラー: ブラウン系のシープスキンムートン。
- 主な変更点: ジッパーの仕様変更。
B-15C(Type B-15C:1950年〜1953年)

- 生地: アウターシェルはエアフォースブルーのナイロンツイル。
- 襟: シープスキンムートンの襟。
- ライニング: ウールパイル。
- フロントジッパー: クラウン社製のスプリングカムロック式ジッパー。
- 肩の仕様: セットインスリーブ。
- 袖口: ウールリブニット。
- ウエスト: ウールリブニット。
- ポケット: フロントにスナップボタン留めのスラッシュポケット。左袖にペンシルポケット。
- オキシジェンタブ: 省略される。
- ボアのカラー: ベージュ系のシープスキンムートン。
- 主な変更点: 素材がコットンツイルからナイロンツイルへ、カラーがODからエアフォースブルーへ変更。ライニングもアルパカからウールへ。オキシジェンタブが省略されるモデルが登場。
B-15D(Type B-15D:1953年〜1950年代中期)

- 生地: アウターシェルはエアフォースブルーのナイロンツイル。
- 襟: シープスキンムートンの襟。
- ライニング: ウールパイル。
- フロントジッパー: クラウン社製のスプリングカムロック式ジッパー。
- 肩の仕様: セットインスリーブ。
- 袖口: ウールリブニット。
- ウエスト: ウールリブニット。
- ポケット: フロントにスナップボタン留めのスラッシュポケット。左袖にペンシルポケットに加え、フラップ付きのユーティリティポケットが追加される。
- オキシジェンタブ: 完全廃止。
- ボアのカラー: ベージュ系のシープスキンムートン。
- 主な変更点: 左袖にユーティリティポケットが追加。
このように、B-15シリーズは、時代とともに素材や細部のディテールが進化してきました。特に、素材の変更(コットンからナイロンへ)、カラーの変更(ODからエアフォースブルーへ)、そして左袖のユーティリティポケットの追加は、B-15の進化を象徴するポイントと言えるでしょう。古着を探す際には、これらの違いを意識して探すと、より興味深い発見があるはずです。
B-15フライトジャケットの古着の魅力:ヴィンテージならではの風格と希少性
B-15 古着は、現代のファッションシーンにおいても唯一無二の存在感を放ちます。長年着用されてきたことによる生地の質感、ムートンの風合い、そして細部に刻まれた歴史の跡は、ヴィンテージならではの魅力です。
特に初期のコットンツイルモデルや、エアフォースブルーへの移行期のモデルは、現存数が少なく、希少価値が高いため、コレクターアイテムとしても人気があります。当時のオリジナルディテールをそのまま残したB-15は、単なる防寒着としてだけでなく、歴史を語る貴重なピースと言えるでしょう。
また、古着ならではの出会いも魅力の一つです。同じモデルでも、状態やサイズ、そして何よりも出会うまでのストーリーが異なります。時間をかけて自分だけの一着を探し出す過程は、古着愛好家にとってかけがえのない喜びです。
近年では、サステナブルなファッションへの関心が高まっており、質の高いヴィンテージのB-15を長く愛用することは、環境への配慮にも繋がります。
古着店やヴィンテージショップを巡り、自分にとって特別なB-15フライトジャケットを探してみてはいかがでしょうか。
B-15フライトジャケットの着こなし術:現代に蘇るミリタリーエレガンス
B-15フライトジャケットは、その独特のルックスから、着こなしに個性をプラスしてくれるアイテムです。無骨なミリタリーテイストを残しつつ、現代的なアイテムと組み合わせることで、幅広いB-15 コーデを楽しむことができます。ここでは、メンズとレディースそれぞれにおすすめの着こなし術をご紹介します。
メンズコーデ

- ミリタリースタイル: チノパンツやカーゴパンツと合わせ、インナーにミリタリーシャツやサーマルシャツを合わせれば、オーセンティックなミリタリースタイルが完成します。足元はワークブーツやミリタリーブーツで重厚感を出すのがおすすめです。B-15の持つ上品な雰囲気は、野暮ったさを抑え、洗練された印象を与えます。
- アメカジスタイル: デニムパンツやシャンブレーシャツと合わせた、ラフで男らしいアメカジスタイルにもB-15は хорошоにマッチします。インナーにスウェットやネルシャツを合わせ、足元はスニーカーやレザーブーツでカジュアルダウンするのがおすすめです。ムートンの襟が、アメカジスタイルに温かみと個性をプラスします。
- きれいめカジュアルスタイル: スラックスやウールのパンツと合わせ、インナーにシャツやタートルネックニットを合わせることで、カジュアルながらも上品な印象に。足元はローファーやデザートブーツなどを合わせると、洗練された雰囲気にまとまります。B-15の持つ落ち着いた色味とムートンの質感が、上品さを演出します。
- ストリートスタイル: パーカーやスウェットの上にラフに羽織り、キャップやスニーカーを合わせれば、ストリート感のある着こなしに。オーバーサイズのB-15を選ぶことで、よりトレンドライクなシルエットになります。
- ワークスタイル: デニムやコーデュロイのワークパンツと合わせ、インナーにワークシャツやヘンリーネックTシャツを合わせれば、男らしいワークスタイルが完成します。B-15の持つタフな雰囲気は、ワークスタイルに無骨さをプラスします。
レディースコーデ
- カジュアルミックススタイル: ワンピースやスカートなど、女性らしいアイテムと組み合わせることで、甘辛ミックスなスタイルを楽しめます。足元はスニーカーやブーツ、サンダルなど、様々なアイテムと相性抜群です。B-15のボリュームのある襟元が、女性らしさを引き立てます。
- ボーイッシュスタイル: ワイドパンツやベイカーパンツなど、メンズライクなアイテムと合わせた、こなれ感のあるボーイッシュな着こなしもおすすめです。インナーにはカットソーやシャツを合わせ、キャップやサコッシュなどの小物でアクセントをプラス。B-15の持つ無骨さが、ボーイッシュなスタイルに奥行きを与えます。
- きれいめカジュアルスタイル: プリーツスカートやタイトスカートと合わせ、インナーにブラウスやニットを合わせれば、上品な大人カジュアルスタイルに。足元はパンプスやローファーなどを合わせると、女性らしさが際立ちます。B-15の落ち着いた色味と上品な素材感が、きれいめスタイルにもマッチします。
- レイヤードスタイル: 薄手のトップスやワンピースの上に羽織り、上からカーディガンやジャケットを重ねることで、奥行きのあるレイヤードスタイルに。B-15のショート丈は、レイヤードスタイルをバランス良く見せてくれます。
- ヴィンテージミックススタイル: 花柄のブラウスやレースのトップスなど、ヴィンテージライクなアイテムにB-15を羽織ることで、独特の雰囲気を持つスタイリングに。アクセサリーや小物もヴィンテージテイストでまとめると、より統一感が出ます。
着こなしのポイント:
- サイズ感: ジャストサイズで着こなすのはもちろん、あえてオーバーサイズを選んでルーズに着こなすのもトレンド感があります。
- インナー: インナーの色や素材を変えるだけで、全く異なる印象になります。
- 小物: 帽子、マフラー、バッグなどの小物を取り入れることで、個性を演出できます。特に、B-15の襟元と相性の良いニットキャップやマフラーを取り入れるのがおすすめです。
- ボトムス: デニム、チノ、ウールパンツなど、様々な素材のボトムスと相性が良いのがB-15の魅力です。
B-15フライトジャケットを選ぶ際のポイント
B-15フライトジャケットを選ぶ際には、以下のポイントに注目すると良いでしょう。
- 年代とモデル: 前述の通り、年代やモデルによって素材やディテールが大きく異なるため、自分の好みに合ったものを選ぶことが大切です。特に、コットンツイルの初期モデルか、ナイロンツイルの後期モデルかで印象が大きく変わります。
- サイズ: 厚手のインナーを着ることを考慮し、ややゆとりのあるサイズを選ぶのがおすすめです。古着の場合は、実寸サイズを必ず確認してください。
- 状態: 古着の場合は、生地の傷み、汚れ、リブの伸び、ジッパーの開閉などをしっかりと確認しましょう。特に、ムートンの状態は保温性に大きく影響するため、注意が必要です。
- 製造メーカー: 様々なメーカーがB-15を製造しており、それぞれに特徴があります。バズリクソンズなどの復刻ブランドも、忠実な作りで人気があります。
- 襟のムートン: ムートンの質や色、状態は、ジャケットの印象を大きく左右します。
おわりに:B-15フライトジャケットは、温かさとスタイルを両立する永遠の定番
B-15フライトジャケットは、その高い保温性と独特のデザインで、冬のファッションにおいて確固たる地位を築いています。古着ならではの風合いや、現代的な着こなしにも対応できる汎用性の高さは、B-15が時代を超えて愛され続ける理由と言えるでしょう。
ぜひ、あなたも自分だけの一着を見つけて、B-15フライトジャケットを冬のワードローブに取り入れてみてください。それは、暖かさだけでなく、スタイルにも妥協しない、あなたにとって特別な一着となるはずです。
コメント